【要約・まとめ】『ホワイトカラー消滅 私達は働き方をどう変えるべきか』をまとめてみた

4.5
経営学
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『ホワイトカラー消滅』の概要

筆者:冨山 和彦氏
出版社:NHK出版
ページ数:304ページ
ジャンル:ビジネス書

あらすじ

昭和なホワイトカラー⾝分による中間搾取を排除せよ。

本書では日本社会が、従来のホワイトカラー中心から、ローカル経済を担うエッセンシャルワーカーの重要性が増す未来を予測する。

  • DX・CXによる生産性向上
  • 個人のリスキリング
  • 経営の新陳代謝

これらを促すことで、ローカル経済の活性化とグローバル競争力の維持を両立させ、日本経済が復活する道筋を示している。

レビュー(ピックアップ)

ネガティブ

  • 正しいが、それができたら苦労しない、と思ってしまった
  • 著者の成功談に基づく正論が多いため、途中で読み疲れてしまう

ポジティブ

  • 著者の主張は明快かつ共感できる。AIの成長の中の不確実な時代、多くの人が読むべき本。
  • いつかAIに奪われる職種の私には、自身の価値の向上をどのように達成するかを考える良いきっかけになりました

評価

4.5

自分自身の働き方もそうだし、子どもに対する教育についても考えさせられる内容。

確かに正論が多く、何度も同じことを語り冗長性もあるため、それをどう噛み砕いて自分ごと化するかが問われる1冊ではある。

「エッセンシャルワーカー」という単語にピンとこない方は、視野を広げるという観点で一読をおすすめしたい。

この本をお勧めしたい人

  • グローバル企業で働くホワイトカラーの従業員: 新しい時代に適応するための考え方やスキル、キャリアチェンジの方向性を考える上で参考になる
  • 将来のキャリアを考えている若い方: ホワイトカラーというキャリアパスが必ずしも安泰ではない、という観点を持つきっかけに
  • 「働き方改革」や「リスキリング」に関心のある方: これらの言葉の本質的な意味合いや、企業や個人がどのように取り組むべきかについて理解を得られる

この本をお勧めできない人

  • 現状の働き方やキャリアに不満がない人: 本書で述べられているホワイトカラーの変容やリスキリングの必要性などが、あまり響かないかも
  • 具体的なスキルアップの方法やノウハウを期待している人: 本書は、働き方を変えるための根本的な考え方や社会全体の構造変化に焦点を当てています

『ホワイトカラー消滅』の要約

第1章|グローバル企業は劇的に変わらざるを得ない

要約・まとめ

日本の労働市場は大きな転換期を迎えている。従来の「ホワイトカラー正社員」モデルは衰退し、労働供給制約の時代に突入。賃金停滞、社会活動の維持困難、人口減少、国力減退の危機が指摘されている。

この状況を打破するには、メンバーシップ型雇用からジョブ型・スキルベース型雇用への転換が不可欠。日本的経営モデルからの脱却も求められ、両利きの経営による事業ポートフォリオの入れ替えと組織の新陳代謝が必要です。

今後は、高い労働生産性を前提とした高賃金雇用が重要となり、アンラーン、リラーン、リスキリングが鍵となる。

明日への学び

アンラーン、リラーン、リスキリングが、ますます重要になっている。 従来の成功体験や知識をアンラーン(学習棄却)、リラーン(再学習)、リスキリング(学び直し)していくことが、個人と企業双方にとって極めて重要である。

自分事に落とし込む

ホワイトカラーとして働いている自身はどう動くべきか、そして子どもに対してどのような教育が必要か、改めて考えさせられた。特にアンラーンについては、過去の成功体験や固定観念を意識的に見直し、手放すことから始めてみたい。

第2章|ローカル経済で確実に進む「人手不足クライシス」

要約・まとめ

ローカル経済(地方における経済)では、医療・介護・交通などのエッセンシャルワーカー分野で、少子高齢化による構造的な人手不足が深刻化している。これは、地方における最低限の社会機能維持が危うくなっていることを意味する。

なぜこうなったか? それは、デフレ期に雇用の受け皿として低生産性・低賃金構造が温存されてきた結果である。

現状維持ではスタグフレーションや社会の持続性危機が危惧されるため、現場労働者の付加価値労働生産性を抜本的に引き上げ、「アドバンスト化」することで新たな中間層を形成することが不可欠である。そのためには、経営改革やDX活用、高生産性セクターへの労働移動促進、最低賃金の大幅引き上げなどが急務となっている。

明日への学び

ローカル経済での深刻な人手不足は、単なる不景気や一時的な問題ではなく、少子高齢化、グローバル化、デジタル化といった不可逆的な構造変化の結果である。昭和的な「ホワイトカラーが上で現場は下」「終身雇用で会社に守られる」といった価値観は通用しなくなりつつある。

そのうえで古い価値観を「アンラーン」することが、第一章から引き続き重要であると説かれている。この変化を正確に認識し、過去の成功体験や固定観念を捨てること(アンラーン)がまず必要である。

自分事に落とし込む

「ホワイトカラーが上で現場は下」という認知が自分になかったかとは言えない。自省と共に、ホワイトカラーである自分自身の考え方を見直す必要性を認識できた。

第3章|エッセンシャルワーカーを「アドバンスト」にする

要約・まとめ

ローカル経済の人手不足と社会機能維持の危機に対し、エッセンシャルワーカーは「アドバンスト・エッセンシャルワーカー」へと、自己を変革する必要がある。

付加価値労働生産性を引き上げ、高い賃金を得られる新しい中間層の中心に据えることを目指す。実現のためには、過去の価値観や終身雇用モデルを捨て去り(アンラーン)、市場で通用する技能(スキリング/リスキリング)を習得する教育・資格制度改革(職業大学モデル重視、資格制度充実)、そして付加価値労働生産性向上を追求する経営者の意識改革など、社会全体の構造的変革が不可欠である。

明日への学び

「付加価値労働生産性」を意識的に高める努力が必要。そのためには、テクノロジー活用や専門スキル習得(リスキリング)に加え現場を含む多様な仕事の価値を理解することが重要,/span>である。

自分事に落とし込む

手を動かすことに加え、足を動かして現場に行くこと、特に顧客に会う事が重要。仕事の仕方も見直そう。

第4章|悩めるホワイトカラーとその予備軍への処方箋

要約・まとめ

AIによる仕事の代替や従来の終身雇⽤モデルの崩壊により、多くのホワイトカラーが仕事の縮小や無意味化に直面することになる。

この状況を乗り越えるには、過去の価値観をアンラーンし、リベラルアーツ(基礎技能) や市場で通用する専門技能を継続的に学び(スキリング/リスキリング)、自身の付加価値を抜本的に高めることが不可欠である。

具体的には、AIを活用する立場の中間経営職や、ローカル経済で活躍できるアドバンスト現場人材を目指すこと。そして、自身の価値を雇う側の視点(メタ認知)で客観的に評価し、主体的なキャリア戦略を立てること。これらのような働き方が、この大転換期を生き抜く鍵である。

明日への学び

自身の「付加価値労働生産性」を意識的に高めることが不可欠。

具体的には、すべてのスキルの土台となる基礎的な「リベラルアーツ」(言語や数理的言語など)をしっかり習得し、その上に市場で通用する専門技能や高度技能を継続的に学び続ける(スキリング/リスキリング)ことが、これからの日本社会では求められるようになる。

自分事に落とし込む

自身の市場価値を客観的に評価する「メタ認知」能力を養う。

まず自分の仕事が具体的にどのような価値を生み出しているのか、どのようなスキルが市場で求められているのかを調べ始めることから始めてみよう・

第5章|日本再生への20の提言

要約・まとめ

日本は少子高齢化と不可逆的な人手不足が構造的に進行している。しかし、これは再生のチャンスである。

日本再生の鍵は、ローカル経済のエッセンシャルワーカーの付加価値労働生産性を飛躍的に高め「アドバンスト化」し、新しい分厚い中間層を作ること。このためには、個人のリスキリングとキャリア戦略、企業の生産性追求、労働市場強化、最低賃金大幅引き上げなどの構造改革が不可欠である。

これらの変革を国民運動とし、ローカル経済を新たなフロンティアとして目指すことを、提言する。

明日への学び

これからは、個人の「付加価値労働生産性」を抜本的に高めることが、経済的安定と豊かさの鍵となる。そのためには、古い常識を「アンラーン」し、市場で価値を生む専門技能や高度技能を継続的に学び、自らのキャリアを主体的に設計し直すことが不可欠である。

自分事に落とし込む

改めて、自分のキャリアは自分で考え抜くことが重要であると認識できた。
家族との兼ね合いもあって今すぐにできるわけではないが、将来の選択肢として、ローカル経済圏での「アドバンスト現場人材」を真剣に検討することも必要。

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