【要約・まとめ】『ファイナンス思考 日本企業を蝕む病と、再生の戦略論』をまとめてみた

ファイナンス思考のタイトル 経営学
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BYB

年間100冊以上の本を読む30代サラリーマン。国内MBAを最優秀で卒業し、その知見を用いて人生やビジネスで役に立つ書籍を紹介します。

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第1章:PL脳に侵された日本の会社とビジネスパーソン

本章をお勧めしたい方

  • 最も大切な数字は売上だと考えている方
  • ファイナンスって難しそうと思っている方
  • 黒字事業の売却の意味を説明できない方

要約・まとめ

PL脳とは、短期的な売上や利益だけを求めてしまう考え方のことです。PLは一年間の結果を表しているだけなので、長期的な成長の視点が抜け落ちてしまいます。

身につけるべきはファイナンス思考。その特徴は3点あります。

  • 価値志向
  • 長期思考
  • 未来志向

企業は永続的な成長を求められているので、マーケティングや研究開発を先行当時として捉え、短期的な利益低下が出ることを怖れてはいけません。GAFAの戦略を紐解くと、長期的な未来志向であることが伺えます。

大切なことは企業の価値最大化。そのために、ファイナンス思考を身に着けましょう。

明日への学び

なぜファイナンスを学ぶべきかが端的に示されている優良な章。

PL脳・ファイナンス思考の考え方は財務だけでなく、日常のあらゆる点で応用可能。自身のスキル開発であれば、より長期的に役立つスキルを取るために、時間コスト・金銭コストをためらわない、など。

本章で描かれていないのは、どのように未来を描くか。そこは志領域などで描くべきなのだろう。

なんにせよ、5年後、10年後の自身・自部署・自社の価値最大化に向けて、まずはこのブログを通じて、知見の固定化を進めていく。

第2章:ファイナンス思考なくして日本からアマゾンは生まれない

本章をお勧めしたい方

  • ファイナンスと言われても、何をすればいいのか分からない方
  • 手っ取り早くファイナンス思考の中身を知りたい方

要約・まとめ

ファイナンス思考とは、3つの軸を用いて思考を深めていくことです。

1. 評価軸:
その事業が企業価値の最大化にどれだけ寄与するのか、という観点から評価します。企業価値とは、将来に渡って生み出すキャッシュ・フローの現在価値のことです。

2. 時間軸:
長期間かつ自発的に設定します。事業によって収益化までの時間は異なるため、4半期ごとなど会計基準に合わせてはいけません。

3. 経営アプローチ:
戦略的かつ逆算型の働きかけを行います。

ファイナンスの活動を分解すると、以下の4つになります。

  • A:外部からの資金調達
  • B:内部での資金創出
  • C:資産の最適配分
  • D:ステークホールダー・コミュニケーション

ビジネスマンであれば、少なくともB:資金創出には携わっているはず。ファイナンス思考は全従業員が持つべきものなのです。

市場が縮小する低成長時代では、PL脳では企業成長は望めません。ファイナンス思考で、非連続に成長する仕掛けを作りましょう。

明日への学び

ファイナンスというと、特定の部門の人だけが行う、数字だけを動かすなどのイメージがあったが、著者の分解によるとそうではない。B:内部での資金創出は、普段の業務によるキャッシュの創出であるし、D:ステークホルダー・コミュニケーションは人への対話である。

カネ系の内容だからといって、特別視してはいけない。経営戦略・マーケティングの内容も包含されているし、リーダーシップ・クリティカルシンキングの内容も包含されているのだ。

こうして考えると、MBAで学ぶことは全てがつながっている。それぞれの内容をどれだけ分断させずに咀嚼できるか。これが大切なのだろう。今後の読書に置いても、どの本とどの本が結びつくのかを意識しながら読書していく。

第3章:未読

第4章:PL脳に侵された会社の症例と末路

本章をお勧めしたい方

  • ビジネスは売上を伸ばさないといけないと考えている方
  • 黒字事業を畳むことの意味がわからない方

要約・まとめ

本章では、PL脳の症例を詳しく見ていきましょう。

1.売上至上主義
利益より売上高を優先してしまうこと。特に現場は売上げ至上主義に陥りやすい。

2.利益至上主義
利益のみを追求してしまうと、長期的な会社の価値向上の妨げになる。例えばマーケティングコストや研究開発費の削減、企業買収を避ける、会計操作など。

3.キャッシュフローの軽視
キャッシュフローの軽視は、黒字倒産を招く。

4.バリューの軽視
黒字だから続けようという考え。たとえ黒字であっても利幅が想定以下であれば、初期投資の回収も、次への投資もままならなくなる。

5.短期主義
決算内容を良く見せようと短期的な意思決定をしてしまうこと。上司や株主からに圧力に屈すると起きやすい。

PLが不要というわけではありません。しかし、PLのみで意思決定することは危険なのです。

明日への学び

短期的で直感的な指標に、人は飛びつきやすい。情報は溢れているし、仕方のないことかもしれない。

しかし、仕方ないで済ませていると、自社も自身も未来が危うくなってしまう。まずは自身が、長期的で複雑な指標を理解せねばならない。その後、株主や上司に、わかるように説明する。

まずは、難しいファイナンス用語や概念を、自分の言葉で説明できるように噛み砕く練習から始める。

第5章:なぜPL脳に陥ってしまうのか

本章をお勧めしたい方

  • 自社のPL脳を撲滅したい方
  • PL脳の構造的な要因を知りたい方

要約・まとめ

PL脳に陥ってしまう要因を、6つの要因から考えてみましょう。

1.高度経済成長期の成功体験
成長市場ではPL脳は有効に働く。しかし、飽和市場では市場創造するマーケティング視点のほうが重要。

2.役員の高齢化
終身雇用に伴い高齢役員が多く、在任期間が短い。そのため、リスクを負う意思決定ができない。

3.間接金融中心の金融システム
銀行は金利からリターンを得る。企業が成長してもリターンは変わらないため、安定が望まれてしまう。

4.PLの分かりやすさ
管理会計において、わかりやすさは魅力的。人事評価にも組み込まれている。

5.企業情報の開示ルール
四半期毎の開示に合わせて対応しようとしてしまう。

6.メディアの影響
メディアは業績の上げ下げを論じるが、その変化の企業価値向上への影響まで解説できていない。

明日への学び

要因を更に大枠にすると、以下のようになると思う。

  • 昔のやり方を変えられない
  • 安易な方法に流れてしまう

どちらもビジネス書でよく出るタブーだ。ありきたりな反面、根深い問題ということだろう。

大切なことは、ファイナンスは決して特別なものではなく、リーダーシップや営業などと同じ構造の課題を抱えているということだ。

決して、ある部署の人だけに任せて良い問題ではない。実務ですぐに役立てられないかもしれないが、今後も定期的に知識を重ね、他のスキルとの相乗効果を高めていきたい。


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