第1章:第4次産業革命の読み解き
本章をお勧めしたい方
- ハードウェアとソフトウェアの結合、という言葉にピンとこない方
- SaasPlusOneという言葉を知らない方
- 日本企業はこのままデジタル領域で勝てないと思っている方
要約・まとめ
サブスクリプションに代表されるように、売主と消費者との関係は変わりつつあります。売主は優良な顧客体験を提供し、消費者との関係を長く保たねばなりません。そのためにはどうすればよいでしょうか?
優良な顧客体験の創造には、ハードとソフトを戦略的に結合させた、コネクテッド分野への投資が不可欠です。デジタル分野のコモディティ化が進んでいるため、ハードが得意な日本企業は相対的にチャンスと言えます。
ハードとソフトの結合には、デザインの力が不可欠。そのため、デザイナーを交えた組織横断型のBTC型組織の構築が急務です。
明日への学び
なぜ日本からGAFAが生まれないのかという議論は、この章を読む限りでは不要なことが分かる。
デジタル技術はコモディティ化し、お金を払えば誰でも使える。AWSやGoogleSuits、Qiitaなどが代表例だ。デジタルに携わる人たちは、コモディティ化を是として、業界や自身を成長させてきたのだろう。
デジタルを主戦場としてこなかった我々は、GAFAを有効活用すれば良い。張り合う必要性はないのだ。
デジタルを有効活用するには、デジタルについての最低限の知識が必要である。また、ビジネスとデジタルを結合し、素晴らしいサービスができたとしても、使いづらければ意味がない。そのためにデザインの知識も不可欠だ。本書が提案するBTC型人材の意味合いは、ここにあると思う。
ビジネス領域に比べ、テクノロジー 領域 、デザイン 領域 は尻込みする人も多いのではないか。しかし、専門家になる必要はない。その専門家たちと議論ができるレベルでよいのだ。本書に後述されるトレーニングから始めていきたい。
第2章:イノベーションを加速する人材像
本章をお勧めしたい方
- イノベーション人材になるための具体的な育成事例を知りたい
- イノベーション人材になるための具体的な行動のポイントを知りたい
要約・まとめ
イノベーションを加速させる人材像とは、Business・Technology・Createの3分野に詳しい人材を指します。今までではBとTだけでイノベーションを起こせたかもしれません。しかし、今後はCreateの重要性が増していくでしょう。
イノベーションを分解すると、価値創造+社会浸透です。価値創造は、異種交配による新結合。BTのロジカル思考と、 Cのユーザー視点・美意識を結合させることで価値創造が加速します。またマーケティング戦略とデザインを噛み合わせることで、社会浸透を加速させることができます。
BTC型人材の育成には、越境が不可欠です。B-T-Cの各領域を行ったり来たりしながら、苦手な領域は教えてもらい、得意な領域は教えながら、チームとして成長していくのが理想的です。
明日への学び
越境がポイント。自身の非専門領域、不得意領域に踏みこんで仕事をするのは勇気がいる。
勇気に頼るのではなく、仕組み作りが重要だと考える。チャレンジできる環境と心理的安全性の担保。越境の重要性を知り、方針を提示できる上司も必要か。
越境の方向性が正しいか確認し続けることも重要だろう。
テクノロジーとクリエイティブへ、適切に適度に越境する癖・仕組みを構築することが、BTC型人材への一歩になる。
第3章:BTCトライアングルとデザイン
本章をお勧めしたい方
- デザイン思考とは何か知らない方
- ソフトウェアのデザイン、にピンとこない方
- 自社にクリエイティビティを導入したが、失敗した経験がある方
要約・まとめ
デザインには三種類あります。1つ目はクラシカルデザイン。外見を美しく、使いやすく整えます。2つ目はデザインエンジニアリング。TとCの統合をはかるデザインです。3つ目はビジネスデザイン、ビジネスとクリエイティブの橋渡しになるデザインを指します。
クラシカルデザインがブランドやスタイルを作るデザインであるのに対し、デザインエンジニアリングとビジネスデザインは、課題解決のためのデザインです。
有名なデザイン思考が得意なのは、人間中心思考で取り組む課題解決型のイノベーションと、チームワークの土台の提供。これはデザインエンジニアリングとビジネスデザインのための思考法と言えます。
不得意なのはアイディアのコア部分やビジョン、ブランドやスタイルを作ること。この領域はクラシカルデザインが必須です。
デザインにも得意・不得意な領域があると知ることが、BTC型組織の始めの一歩です。
明日への学び
きれいに作ることも大事だが、人に使ってもらえることも大切。BtoBは、使ってもらうことの重要性が顕著だと思う。
デザインと聞くとクラシカルデザインをイメージしてしまうが、目的はユーザーに使ってもらい、優良な顧客体験を満喫してもらうこと。目的を見失わないようにせねばならない。
また課題解決型のデザインは強力だが、そもそも課題は何なのかを特定できていないと、解決策も的外れになってしまう。そのための手法として、デザイン思考がある。
課題の特定にも様々な手法がある。クリティカル・シンキングもあれば、デザイン思考も。その存在を知り、内容を理解した上で、大切なのは使ってみること。
幸いにも、プロトタイピングを作りやすい環境に私はいる。デザイン思考のフレームをより意識して、明日からの仕事に臨もう。
第4章:BTC型人材へのファーストステップ
本章をお勧めしたい方
- BTC人材を目指したいが、最初の一歩が踏み出せない方
- デザインセンスのトレーニング法を具体的に知りたい方
要約・まとめ
BTC型人材へのファーストステップは、デザインへの理解。目指すレベルは、デザインリテラシーがあること。専門家と議論ができるレベルを、まずは目指しましょう。
デザインを学ぶ際に気になるのは、自分にセンスが無いことでしょう。しかし実は、センスは鍛えられるのです。
そもそもデザインセンスとは、眼の前のものに対してYes / Noのジャッジをすること。自身の好き嫌いを解像度高く認識している人が、センスのある人といえます。簡単なトレーニングを日ごろから繰り返すだけで、自身の好みの解像度を上げることができます。
センスのあるデザイナーに継続的に意見をもらうことも有用です。BTCの統合の目的は、変化を起こして良いものを作ること。そのために、勇気を持って越境を続け、分からないなりにコミュニケーションし、学び続ける姿勢が大切です。
明日への学び
ビジネス本を読むとすごい人の話ばかりで、気後れしてしまうことがある。自分には、このようなことはできないと。
しかし著者は、トレーニングの考え方と具体的なトレーニング手法を惜しげもなく披露している。社内で多くのBTC型人材を排出してきた経験が豊富だからだろう。分かりやすく、ハードルも低い。気後れすることはない。
仕事をする上で大切なことは、再現性をもたせること。著者のように、本で紹介できるレベルまで育成体型を抽象化し、その上で行動してもらえるように具体化することで、本手法は強い再現性を持っている。
私も、真似することに加えて自社で再現性をもたせるための工夫を考え方続けていく。
第5章:デザイン駆動型プロジェクト
本章をお勧めしたい方
- デザイン駆動形プロジェクトの具体事例が知りたい方
- 新規事業アイディアの発想法を知りたい方
要約・まとめ
BTCを新規事業の企画に生かすには、抽象と具体を何度も行き来すること。具体的には、情報分析による課題抽出と、具体的なアイディア発想を並行して行うことで、成功確率を高められる。
特に、アイディア発想は運によるところがあるため、頻度を上げることが効果的なのです。
著者が携わってきたデザイン駆動形のプロジェクトを振り返ると、4つの共通点があるそうです。
- 高解像度のユーザー理解+アイディア出しを並行して行う
- アイディアを群として捉える
- プロトタイピングによる仮説、検証、アラ取りを徹底する
- デザインの種類(課題解決 or クラシカル)を意識して活用する
明日への学び
いついかなる時もアイディアを考え続けなければならない。なぜなら、アイディアの発想は運であり、確率の世界。ならば球数を増やさねばならないのだ。
アイディアを群で捉える、というのはそういうことだろう。
その一方で、顧客課題の解像度を上げることも重要。顧客の生の声を聞き、課題を直接見て触れなければ、群であるアイディアの何を採用すべきかが定まらない。
アイディア⇒即実行を改め、群として貯蓄し、することとしないことを明確にする必要がありそうだ。