『論点思考』の概要
筆者:内田 和成氏
出版社:東洋経済新報社
ページ数:235ページ
ジャンル:ビジネス書
あらすじ
論点思考とは、「自分が解くべき問題」を定義するプロセスである(P.31)
あなたがいま解いている問題、あるいは、これから解こうとしている問題は正しいのか、他に解くべき問題があるのではないか(P.4)
本書では、真の問題を見極めるステップとして、以下の内容を取り上げている。
- どのように問題設定をするか(第1章)
- 問題からどのように論点を拾い出すか(第2章)
- どの論点を絞り込むか(第3章)
- どのように論点を確定させるか(第4章)
レビュー(ピックアップ)
ネガティブ
- 書いてあることは分かるが、結局は経験を積むしかなさそう
- 書いてあることは間違っていないが、理想論に近いと感じてしまった
ポジティブ
- 丁寧に順を追って説明がされているため、わかりやすい
- 自身の思考をさらに深める上で大きな起爆剤として寄与してくれた
評価
名著といわれるだけのことはあり、一読する価値のある本である。
内容は敢えて難しくしていないのだろう。文字のフォントも大きく、読みやすい。
読みやすさを求めた結果、詳細に欠ける部分もあるが、それでもなおお勧めできる本。
この本をお勧めしたい人
- マネージャーやリーダー: 複雑な問題解決が求められる立場の人には非常に有用
- プロジェクトメンバー: チームでの問題解決能力を高めたい人
- 学生: 論文や研究で論点を明確にしたい人
- マーケティング担当者: キャンペーンや戦略の効果を最大化するために論点を整理したい人
- 自己啓発を目指す人: 思考力を高めたいと考えている人。
この本をお勧めできない人
- 即効性を求める人: 論点思考は短期間での成果よりも、長期的な思考力の向上に役立ちます
- 独自の問題解決法に固執する人: 既に自分なりの問題解決法を持っていて、それに固執するタイプの人には向かないかもしれません
- 理論より実践を重視する人: この本は思考法に重点を置いているため、即座に実践できる具体的なスキルを求める人には不向きかもしれません
『論点思考』の要約
第1章|あなたは正しい問いを解いているか
要約・まとめ
問題解決において大切なことは、解くべき問題を定義することである。問題の定義プロセスを、論点思考と呼ぶ。
真の問題に気付く力こそ、現在のビジネスパーソンに最も適切なものだ。
与えられた問題を鵜吞みにせず、本当に正しいかという視点を持ち、論点を設定することが大事。
明日への学び
どのような仕事であっても、まず論点の設定から入ることが大事。
自分事に落とし込む
仕事が忙しくなると、どうしてもHowから入りがち。
グッとこらえて、論点を整理することで、その後の施策実行フェーズが格段に質が高められる。
第2章|論点候補を拾いだすー戦略思考の出発点
要約・まとめ
まずは論点候補を洗い出す必要がある。その際は、以下の点に注意すること。
- 現象や観察事実を論点と間違えない。例えば「会社に泥棒が入った」は現象であり、論点ではない。
- 本当にそれが論点か、を常に疑問に思う。
- 論点は動くことを肝に銘じる。人によっても異なるし、環境で変化するし、議論によって進化する。
明日への学び
論点は無数に存在するため、いくらでも考えられる。勘所を押さえておかないと、キリがない。
自分事に落とし込む
自身は筋の良い論点が考えられているだろうか。パッと思いついたものを論点だと考えてしまう癖があるかもしれない。
広げることと絞り込むことを常に意識しながら、論点を考えていかねば。
第3章|当たり・筋の良し悪しで絞り込む
要約・まとめ
論点を絞り込む際は、当たりを付けることと、筋の良し悪しを見極めることがポイントになる。
当たりを付ける際は、以下がポイントになる。
- 白黒つけられそうなところからアプローチする
- 依頼者の関心が低い分野にアプローチする
- なぜなぜを5回繰り返す
筋の良し悪しを見極める際は、以下がポイントになる。
- 簡単に解けそうか
- 容易に実行できそうか
- 大きな効果が短期間で表れそうか
明日への学び
簡単に解けるか否かが、筋の良し悪しを決めるポイントの1つである。
自分事に落とし込む
難しい問題こそ、解いたときの感動が大きいから、高く評価されてしまうような気もする。
でも、大切なのはやはりプロセスではなく、結果。結果を出すには、簡単に解けるかどうかもものすごく大事。
第4章|全体像を確認し、論点を確定する
要約・まとめ
全体像を確認する際のポイントが、論点の構造化だ。
代表的な手法としてイシューツリーやロジックフローなどがある。
構造化の際は、以下の点に注意すると良い
- 上位概念の論点を考える
- 論点のレベル感を考慮し整理する
- 虫食いでも構わない
明日への学び
構造化をすることで、全体像を浮かび上がらせ、足りない論点に気づくことができる。
自分事に落とし込む
第5章|ケースで論点思考の流れをつかむ
要約・まとめ
(ケースなので省略)
第6章|論点思考力を高めるために
要約・まとめ
論点思考力を高めるためのトレーニング方法として、以下が効果的。
- 問題意識をもって仕事をする。本当の問題は何かを常に考える姿勢を持つ。
- 視野・視座・視点を変える。常に違った観点からモノを見たり、考えたりする癖を付ける。
- 複数の論点を考える。反対者の意見を考える、代替案を考えるなど。
明日への学び
問題意識を持つことが、論点思考を鍛える第一歩。
自分事に落とし込む
常に問題かどうかを考えることは結構大変だと思う。
まずは一つ、今取り組んでいる課題に対して別の論点が考えられないか、考えてみよう。
論点思考は解くべき問題の設定プロセスのことを指し、仮説思考は仮の答えを基に施行するアプローチである。
どちらが先でどちらが後、という概念ではなく、2つを織り交ぜながら使っていくことになる。